AEA40,史料調査,第34回日本植生史学会大会

11月29日~12月1日は国際環境考古学会第40回大会(40th Association for Environmental Archaeology Conference, 以下AEA40),12月5日・6日は京都・陽明文庫での原本史料調査,12月7日・8日は第34回日本植生史学会大会(会場:豊橋市自然史博物館)へ行きました。


AEA40は国際環境考古学会の年次大会であり,今回はイギリス・シェフィールド大学で11月29日から12月1日まで実施されました。


日本からは私と青野友哉さん(東北芸術工科大学)の2名が参加,東アジアからの参加者はほかに中国人留学生2名で,大多数はヨーロッパの研究者でした。













今回は人と環境の相互関係がテーマであり,環境や景観が人間の生業活動にともなってどのような変化が起きるのか,また環境変化がどのような影響を人間に与えるのか,など各セッションテーマに沿って口頭発表が行われました。また,ポスター発表も同時に行われ,コーヒーブレイクの中でコーヒーや紅茶を片手に,各発表者と参加者が双方向で議論を行いました。私は料紙研究の成果を報告しました。




Ayako Shibutani. Material Resources, Human Selection, and the Environment: From Integrated Microscopic Studies of Japanese Pre-modern Paper Materials. (ポスター,査読有)




学会全体の雰囲気は後述の日本植生史学会と類似していますが,AEAは気候変動,環境変化,生業活動,動植物といった環境考古学の総合的な研究成果が報告され,議論は時間を超過しても継続されるなど比較的アットホームな雰囲気の中で実施されました。

12月5日・6日は,科学研究費のプロジェクトの一環で,京都・陽明文庫で原本史料調査を行いました。

今年度3回目の調査であり,今回初めて文庫の所蔵史料が収められた倉に入れていただくことができました。非常に貴重な中世・近世の史料を多数調査させていただき,画像データを多数得ることができました。

12月7日・8日は,第34回日本植生史学会大会に参加し,ポスター発表を行いました。7日はシンポジウム,8日は一般研究発表です。

シンポジウムのテーマは「種の同定への挑戦」で,植物化石や植物遺体から種はどこまで認識されるのか,最新の研究成果をもとに,議論が進められました。

















翌日の研究発表において,私はポスター発表を行いました。内容は先述のAEA40と類似しますが,古文書料紙の構成材料としての植物がどこまで検討可能なのかという課題を主に扱いました。

渋谷綾子. 古文書料紙における植物素材の選択と変遷:陽明文庫所蔵史料と松尾大社所蔵史料を中心に.(ポスター)

ポスターセッションでは,今後どのように解析を進めればよいのか,研究データの共有化も含めて学会関係者より多くのご意見をいただきました。

共同研究メンバー,関係機関・関係者,学会員など多くの方がたによって研究活動が支えられていることを改めて実感した2週間でした。すべての皆様に心より感謝申し上げます。

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