ライデン3日目と最終日

AWRANA2015の3日目,29日(金)。この日も内容が盛りだくさんでした。ポスターは連日掲示され,昼食時間(12:00~14:30)にポスターセッションが行われました。その中で,土器付着炭化物の分析に関する成果がありました。

報告者はギリシア・テッサロニキで行われたthe 16th Conference of the International Workgroup for Palaeoethnobotany (IWGP)に参加していたそうで,最近下記論文を出した植物考古学者です。

Kubiak-Martens, L., Brinkkemper, O., Oudemans, T. F. M. 2015. What's for dinner? Processed food in the coastal area of the northern Netherlands in the Late Neolithic. Vegetation History and Archaeobotany 24: 47-62.

来年パリで行われる第17回会議に参加されるとのこと,お互い研究情報の交換をしようと再会を約束しました。


この日とても面白かった発表は,ロボットを使って石器の使用痕を生じさせる実験,およびクマが噛んだことで作られた使用痕(いわゆるコンタミネーション )の実験です。前者は石器に痕跡を生じさせる力を測定するもので,これを参照して石皿・磨石を用いた粉砕・製粉作業によって起こるデンプン粒の損壊実験ができるかもしれないと感じました。

後者は「Use-wear analysis 使用痕分析」ならぬ「Bear-wear analysis クマ痕分析」を報告したもので,スペインの遺跡でクマやオオカミなどの獣による石器の傷と人間が石器を使用したことによって生じた傷の識別をどう行うか,などの研究結果が提示されました。この種の実験は,私は今まで想定したことがなかったため,とても興味深く感じました。





29日夜はインドネシア料理のレストランで学会ディナーが行われ,新旧の友人たちとともに,いろいろな話をして楽しい時間を過ごしました。





30日(土)の最終日は講堂の2階で研究発表を聴きました。ユーモアを交えた興味深い発表がお昼まで続き,その後は学生ポスター賞の発表と総会が行われ,学会が終了しました。


今回初めて参加した学会ですが,「道具」「使用痕」「付着物/残留物」をキーワードとした幅広い内容の研究成果を知ることができ,大変有意義な学会参加となりました。

また,個人的なネットワークを通じて,WAC-8のサーキュラーペーパーも配布しました。多くの人が日本に来たことがないそうで京都行きを楽しみにすると言って,セッション作りを励ましてくれました。来年,全員が京都に来てほしいと願っています。

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