喜界島での調査

7月17日(水)~19日(金)まで,喜界島で資料調査をしてきました。 

今回の調査対象は,喜界町崩リ遺跡(くずりいせき)から出土した縄文時代後・晩期の石器です。石皿や磨石類を中心に,13点から試料を採取しました。さらに,川尻遺跡(かわじりいせき),山田半田遺跡(やまだはんだいせき)の遺物からも試料を採取しました。


崩リ遺跡の近くに所在する川寺遺跡(かわでらいせき)は発掘調査が現在行われています。13~14世紀ごろに営まれた集落遺跡で,遺跡からは多くの遺構や遺物が見つかっています。 








今回調査した崩リ遺跡は昨年度に調査が終了しており,遺跡の土壌を確認することができません。参考として,川寺遺跡の土層をいくつか見せていただきました。




調査前の崩リ遺跡はサトウキビ畑が広がっていたとのことです。今回,遺跡の周辺を歩いたところ,発掘調査の排土からもサトウキビが自生していました。コンタミの可能性を検討する必要がありますので,参照標本として,遺跡周辺のサトウキビ Saccharum officinarum とクワズイモ Alocasia odora の採集を行いました。

 


















クワズイモは沖縄での調査の際に採集しましたが,今回は根茎が未成熟段階のデンプン粒を調べるため,小さいクワズイモを採集しました。

また,7月18日(木)には18時から喜界町役場で「デンプンからわかる昔の食べもの」という題で講演させていただきました。60名の住民の方がたを前に,残存デンプン粒分析でどのようなことがわかるのかをお話したところ,多くの質問を受けることができました。参加者の様子からは,残存デンプン粒の研究に興味を持っていただいたように思います。 

左の写真は田芋(ミズイモ,Colocasia esculenta (L.) Schott var. aquatilis (Hassk.) Kitam. Ex M. Hotta)の茎を料理したフワリ炒めです。芋茎の煮物は食べたことがありますが,それとはまた違って,大変美味しくいただきました。 

南島での調査経験は非常に少ないため,今回どのような結果が出るのか,まったく予測がつきません。得られた結果を受けて,継続調査の方針をたてる予定です。

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