2006年12月10日

第7回関西縄文文化研究会

12月9日・10日、第7回関西縄文文化研究会が大阪市立大学にて開催されました。

今回のテーマは「関西縄文人の生業と環境」で、両日とも多くの研究者による最新の研究状況が報告されました。

研究発表は全体的に動物遺存体の研究が多かったのですが、植物遺存体についても発表がありました。さらに、討論では遺跡における「植物質食料」「漁撈」「狩猟」「石器組成」の情報から、いかに環境、生業を復元していくのかというテーマのもとで、議論が進められました。

なお、今回からポスターセッションもおこなわれることとなり、私も参加しました。

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以前(2006年7月)、「土器の付着炭化物についてデンプン分析を行っている」とお話しました。

   残存デンプン分析用の試料採取:土器編

その研究結果を今回初めて報告しました。

   「松原市三宅西遺跡から出土した土器付着炭化物のデンプン分析」

大阪府松原市三宅西遺跡から出土した縄文時代後期中葉の土器について、炭化物のデンプン分析を行いました。

土器はローリングをほとんど受けておらず、炭化物が厚く付着しているなど、残存状態がよいもので、北白川上層式3期に属すると考えられています。今回は土器片12点からサンプルを採って分析しました。

結果として、サンプルを採ったすべての土器からデンプン粒を検出しました。

分解したデンプンが多かったのですが、おおよそ球形、楕円球形、角ばった球形のデンプンに分けられ、大きさは径6~20μmでした。

さらに、粒が密集したものや植物の細胞内部にデンプンがあるものも検出しました。写真は植物の細胞内にデンプンがあるもの。偏光顕微鏡で十字ニコルにする前(上)と後(下)を撮影しました。

   (光顕×100、スケールバー50μm)

…おそらく、多くの方が興味を持つであろう同定については、分解したデンプンが非常に多いこと、三宅西遺跡における残存デンプンの候補植物が不明であることから、「○○のデンプン」ということはできません。

しかし、

粒が非常に小さいサトイモ(Colocasia esculenta (L.) Schott)やハシバミ(Corylus heterophylla Fisch. var. thunbergii Blume)、非常に大きいヒガンバナ(Lycoris radiata var. radiata)、特徴的な形態をもつヤマノイモ(Dioscorea japonica)ではありません。

今回はポスター発表でしたが、他の事例もあわせて現在までの研究状況について、近いうちに研究ノートや論文を書くつもりです。

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