2006年2月19日

食物史2:残存デンプン研究

前史における植物質食料の加工・利用に関する研究は昔の人びとによる植物利用を知るための基本となります。植物質食料の加工は植物の可食部分を覆っている堅い実の皮や殻のような食べられない部分を取り除くためにしばしばわれます(Gremillion 2004; Stahl 1989; Takahashi and Hosoya 2002)。

考古学遺跡では,遺物の表面や土壌の中に残るデンプン粒が植物質食料の加工が行われたことを示す証拠となります。

デンプンは高等植物の主要部分に蓄積されるものであり,植物質食料の加工はデンプンの構造,形態,残存条件に影響します。

しかしながら,デンプンは非常に安定した化学構造を持ち,微生物のみが極端な温度・湿度の条件下でデンプンに影響を与えます。

残存デンプン粒は植生の変化や食物の歴史に関する新しい情報を提示します(Atchison and Fullagar 1998; Babot 2003; Haslam 2004)。遺物資料から復原された残存デンプン粒は他の方法以上に食生活の側面を明らかにすることができます(Atchison and Fullagar 1998)。

残存デンプン分析の研究は世界でも考古学研究の比較的新しい分野であり,日本考古学ではほとんど知られていません。

日本の先史時代における堅い実や殻がない可食植物の利用についてはほとんど知られていません。日本での農耕の開始以前は,食用植物として一般的に主にドングリなどの堅果類が利用されていたと考えられています。このことは多くの考古学遺跡で堅果類の殻の遺物が多く見られることからも推定されています。

他の可食植物がデンプン質の食物として利用されていたにもかかわらず,考古学では最近までこれらの植物を検出する方法はありませんでした(藤本2000;西田他 印刷中;鈴木1988;山本2002)。

つまり,残存デンプン分析は日本の先史時代におけるデンプン質の可食植物の利用を研究するのに役立つのです。

以下に日本における残存デンプン研究に関するウェブサイトを示しておきます。この研究に関心を持たれるなら,ぜひこれらのウェブサイトをご覧ください。

日本における稲作以前の主食植物の研究
http://www.asahi-net.or.jp/~zh4y-nsd/starchhp/stitle.html

Ancient starch research in Japan(英語)
http://www.researchco-op.net/starch.html

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