文化交流をさぐる

12月7日(土)は,石橋財団レクチャーシリーズ第1回 「造形表現における日欧交流」 へ行ってきました。

ポール・グリンハルシュ氏の講演は,1890年代というアール・ヌーボーがヨーロッパで盛んになる頃の「ジャポニズム」と,1970年の大阪万博前後の国際的な文化交流,特に「モダニズム」について,公的な側面と私的な側面における類似点と相違点を比較・検討した内容でした。

1890年代のジャポニズムやモダニズムに関する個別の研究は膨大な蓄積があるそうですが,両者を比較した研究はほとんどないとのことでした。日本に関するイメージがさまざまなモチーフとなった芸術作品の例が紹介されました。


ニコル・クーリッジ・ルマニエール氏の講演は,いわば博物館学的な内容で,日本と海外との文化交流を陶磁器の意匠からさぐろうとするものでした。

特に,三菱商事日本ギャラリーや大英博物館でどのような日本の展示が行われており,それらがどのような注目を集めているのか。さまざまな日本,中国,アジアの陶磁器を例に,紹介されました。





講演の後はパネルディスカッションが行われました。会場の参加者からは,特に建築の専門家や重要無形文化財の保持者(人間国宝)から講演のテーマに対するさまざまな問いかけや意見が活発に交わされました。

今回の講演会は,日本とヨーロッパの文化,交流,技術を新しい視点でとらえたものであり,国立博物館で働く私にとって,大変参考になりました。来年もこの講演シリーズが開催されるとのことです。

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