北黄金貝塚とカムイタプコプ下遺跡

9月4日(水)~7日(土)まで,北海道伊達市で調査を行いました。調査対象は,北黄金貝塚の石器とカムイタプコプ下遺跡の土壌です。

北黄金貝塚の分析は今回で3回目の調査となり,試料採取を行った石器は擦石や石皿,自然礫を合わせて51点となります。

石器30点以上の分析を行うと,遺跡の傾向をおおよそ把握することができます。

今回の調査によって,北黄金貝塚の石器残存デンプン粒の傾向がどこまでつかめるのかが課題です。





伊達市有珠町カムイタプコプ下遺跡は,近世アイヌ文化期(16~19世紀)の生活を示す遺跡です。

遺跡の概要 
http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/bnh/hc/h24gaiyou/iburi/H24gaiyou.file30.pdf

今年の調査について
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2013/09/03/20130903m_06.html
http://www.muromin.mnw.jp/murominn-web/back/2013/09/06/20130906m_05.html



カムイタプコプ下遺跡の全景。写真中央の土が盛り上がった所は墓です。
今回行ったのは,「1640~1663年の間に該当する畝跡の土からデンプン粒を検出できるかどうか」という目的で,畝跡に残る作物の痕跡から土壌試料を採取することです。


土層断面の黒い部分が畝跡です。 この畝は1640年の駒ヶ岳噴火に伴う津波堆積物と1663年の有珠山噴火の火山灰堆積物との間に挟まれています。

この畝でどんな作物が栽培されていたのかを検討するため,担当者の方がたのご好意で,土壌の残存デンプン粒分析をさせていただくことになりました。





円形の黒い部分が作物の痕跡です。半裁した様子を示しています。

今回の調査では作物の痕跡が4箇所見つかっており, このうち3箇所より土壌試料を採取しました。

土壌の残存デンプン粒分析は,日本では未開拓です。石器や土器の付着物の分析と比べると,方法論的に定まっているわけではありません。そのため,今回の分析は実験的な試みとなります。
 


土壌試料からデンプン粒の検出ができるかどうか。

まずは試薬を使わず,精製水の添加のみで顕微鏡観察を行います。その結果によって,試薬を使う検出方法を考えていくこととなります。

残存デンプン粒分析用に採取した3箇所の土はすべて,作物の痕跡ごと取り上げていただきました。今後いろいろな実験を行うことを計画しています。

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