4月4日(木)~6日(土)まで,アメリカ考古学会第78回ホノルル大会(SAA 78th Annual Meeting Honolulu, Hawaii, April 3-7, 2013)に参加して研究発表を行ってきました。参加したセッションは下記のとおりです。
4日(木)
66) New Developments in Chinese Archaeology
中国考古学の最新研究が報告されたセッションです。中国では,遺跡調査の手法の1つとして石器に対する残存デンプン粒分析がしばしば行われていることがわかりました。
日本ではごく最近の遺跡調査で分析を採用していただくようになり,研究手法として知られてきつつあります。積極的に分析が実施されている他地域のように,東アジアでも比較研究ができる基盤がようやく作られてきたようです。
5日(金)
138) Isotope Ecology and the Ring of Fire: Bioarchaeology in the Pacific
安定同位体分析やアイソトープ分析の最新研究が報告されたセッションです。分析データの提示や解釈のしかたは非常に参考になりました。
このセッションでは,自然環境と生業活動とのかかわりを論じる報告が比較的多く見られました。環境の変化が人間活動に与えた影響を論じる研究が考古学では多い傾向にあります。自然科学の分析から自然と人間とのかかわりをどうとらえるのか,私自身が関心を持っている「自然のなかで人間社会がどのような選択をし,資源利用をはじめとする生業活動を行ってきたのか」というテーマについて,ちょっとしたヒントを得られたセッションでした。
179) Questions of Chronology in Ancient China
中国北部における雑穀栽培に関する報告のみ聞きましたが,アワ・キビの栽培起源についてさまざまなデータが提示されていました。 ただし,同様の研究報告は他の学会でもしばしば聞くことがあり,特に新しい成果が今回報告されたという印象はほとんど受けませんでした。
194) Bioarchaeology of Northeast Asia
このセッションでは,ミトコンドリアDNAの分析や古人骨の分析などから狩猟採集民がどのような食料を獲得していたのか,さまざまな最新データの提示が行われました。
6日(土)
このセッションの最大の成果は「Ground stonesを共通語として,民族考古,実験考古,考古,植物考 古などのさまざまな研究者が研究報告をし,知識をお互いに交換し た」ことだと思います。このような世界的視野で1つのモノを論じるセッションのあり方は非常に面白いと感じました。
なお,残存デンプン粒分析を始めたばかりの2005年に直接指導していただいたリチャード・ フラガー先生とこのセッションで再会し,私の報告に興味を持っていただきました。
フラガー先生の方法論は日本の残存デンプン粒分析,私の研究の基盤となっています。日本の研究が進んできたことを喜んでいただいたので,私自身とてもうれしく思いました。
258) Circumpolar Ceramics: Pottery Technology and the "Foraging Spectrum"
上記250と同じ時間帯に行われたため,最後の報告のみを聞くだけでしたが,土器の研究で助言をいただいているピーター・ジョーダン先生,カール・ヘロン先生,オリバー・クレイグさんとお会いすることができました。今後お互いに情報を交換して,土器の付着物に関する国際的な研究を進めていくこととなりました。
今回のSA Aでは収穫がたくさんありました。研究報告を行う機会をいただいたジョン・アーサー先生に大変感謝しています。
4日(木)
66) New Developments in Chinese Archaeology
中国考古学の最新研究が報告されたセッションです。中国では,遺跡調査の手法の1つとして石器に対する残存デンプン粒分析がしばしば行われていることがわかりました。
日本ではごく最近の遺跡調査で分析を採用していただくようになり,研究手法として知られてきつつあります。積極的に分析が実施されている他地域のように,東アジアでも比較研究ができる基盤がようやく作られてきたようです。
5日(金)
138) Isotope Ecology and the Ring of Fire: Bioarchaeology in the Pacific
安定同位体分析やアイソトープ分析の最新研究が報告されたセッションです。分析データの提示や解釈のしかたは非常に参考になりました。
このセッションでは,自然環境と生業活動とのかかわりを論じる報告が比較的多く見られました。環境の変化が人間活動に与えた影響を論じる研究が考古学では多い傾向にあります。自然科学の分析から自然と人間とのかかわりをどうとらえるのか,私自身が関心を持っている「自然のなかで人間社会がどのような選択をし,資源利用をはじめとする生業活動を行ってきたのか」というテーマについて,ちょっとしたヒントを得られたセッションでした。
179) Questions of Chronology in Ancient China
中国北部における雑穀栽培に関する報告のみ聞きましたが,アワ・キビの栽培起源についてさまざまなデータが提示されていました。 ただし,同様の研究報告は他の学会でもしばしば聞くことがあり,特に新しい成果が今回報告されたという印象はほとんど受けませんでした。
194) Bioarchaeology of Northeast Asia
このセッションでは,ミトコンドリアDNAの分析や古人骨の分析などから狩猟採集民がどのような食料を獲得していたのか,さまざまな最新データの提示が行われました。
6日(土)
222) Before Bringia: Archaeological Evidence and Late Pleistocene Population Dynamic in Central and Northeast Asia
ネアンデルタールの拡散やデニソヴァ人の問題などの研究報告のみを聞きましたが,2011年11月に行われたシンポジウム「旧石器時代のアジアにおける現代人的行動の出現と多様性」の第4回アジア旧石器協会日本大会(APA)を思い起こさせました。
228) Animal Sacrifice in Complex Societies: Method and Theory in Interpreting Zooarchaeological Assemblages
知人がセッションを組織していた関係で参加しましたが,犠牲や儀礼というテーマに対する動物考古学研究の最新成果が報告されていました。
セッションではほとんど触れられませんでしたが,さまざまな報告データは,人間と動物との関係,食料資源のBroad spectrum revolution(ブロードスペクトラム革命)を考える1つの参考材料となりそうです。
250) Common Grounds: Innovative International Perspectives on Ground Stone Studies
私が研究報告「Needs and Passions of Plant Food Consumption: Starch Reveals Functions of Ground Stone Tools and Potteries in Prehistoric Japan」 を行ったセッションです。昨年度に研究がひと段落した東京都下宅部遺跡の事例を報告しました。特に,下宅部遺跡の人びとがどのような植物資源を選択し,食料として利用したのか,残存デンプン粒分析からどこまで復元できるのかを提示しました。
このセッションの最大の成果は「Ground stonesを共通語として,民族考古,実験考古,考古,植物考
なお,残存デンプン粒分析を始めたばかりの2005年に直接指導していただいたリチャード・
フラガー先生の方法論は日本の残存デンプン粒分析,私の研究の基盤となっています。日本の研究が進んできたことを喜んでいただいたので,私自身とてもうれしく思いました。
258) Circumpolar Ceramics: Pottery Technology and the "Foraging Spectrum"
上記250と同じ時間帯に行われたため,最後の報告のみを聞くだけでしたが,土器の研究で助言をいただいているピーター・ジョーダン先生,カール・ヘロン先生,オリバー・クレイグさんとお会いすることができました。今後お互いに情報を交換して,土器の付着物に関する国際的な研究を進めていくこととなりました。
今回のSA
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