石器資料の表面から残存デンプン分析のための試料を採取する方法は主に2つあります。平行光学系実体顕微鏡の下で、試料をマイクロピペットで点的に採取する方法と、超音波洗浄器によって試料を面的に採取する方法です。現在の分析調査では資料の表面にどのようにデンプン粒が残留しているのかを正確に知るため、マイクロピペットと滅菌水を用いて点的に試料を採取しています。
点的に試料を採取する方法では、主として石器資料表面の割れ目や穴に埋まっている残留物を採取します。なお、試料を採取する段階では、残存デンプン粒が含まれているのかは不明です。
上図:
1) 試料採取の道具(左上から順に滅菌水,ピペット用の使い捨てチップ, 10-100 μlマイクロ ピペット、試料チューブ)
2) 石器表面(割れ目)に見られる残留物
3) 表面の残留物に滅菌水を含ませてマイクロピペットで採取する
点的に試料採取を行う場合、必ずしも顕微鏡下で採取する必要はありません。
返信削除資料表面の残留物を観察するため、可能であれば顕微鏡下で採取することが望まれますが、顕微鏡はなかなか携帯できる大きさの機器ではありませんよね?
ですので、フィールドワークで試料採取を行ったり、資料を所蔵する研究機関で試料を採取したりする場合は、資料表面の割れ目や穴といった残留物が比較的残りやすい場所を選んで肉眼で試料採取を行うことも可能です。
ただし、その際は分析時に用いるために、採取場所の詳細な観察記録が必要となります。